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遺言書はなぜ必要か?/書いた方が良いケースとその解説

遺言書は全ての人にとって有効な生前対策

遺言書と聞くとどんなイメージでしょうか?

裕福な資産家が書くものだ。

円満な我が家には不要のものだ。

わたしの死んだ後のことは子どもたちでなかよく分けてくれればいい。

そんなふうに思っていませんか?

でも、実は現代社会において、遺言書は全ての人にとってとても有効な生前対策と言えます。

理由は残された家族の負担が軽くなるからです。

遺産というのは必ずしも等しく分けられるものばかりではありません。

不動産、預貯金、証券、車などを見事にきっちりとその価値に応じて等分するケースというのは実はそんなに多くありません。

現実的に等分が不可能であったり、相続人毎に相続したい遺産が異なったり、理由は様々ですが、

遺産の分割では何らかの偏りを相続人同士で協議して許容しながら合意形成していく必要があります。

例え揉めることのない関係性のご家族であったとしても、生前に遺言書でその分け方についてご本人が明確に示してくれていたら、どれだけ助かることでしょう。

しかも、遺言書があるのと無いのでは相続手続が異なります。

大切なご家族が亡くなった時というのは心身共に大きな負荷が掛かります。

そんな中で期限内に様々な手続を進めていかなくてはなりません。

例えば、医療費の清算や葬儀の費用などまとまったお金が必要な時、被相続人の口座は凍結しています。

これを解約して出金※するには、まず相続人を確定し、全ての相続人で遺産分割協議を行い、同意の上で遺産分割協議書を作成しなくてはなりません。

相続人の中に未成年者がいる場合、遺産分割協議を行うにあたり特別代理人を選任しなくてはなりません。

相続人の中に認知症の方がいる場合、法定後見制度を利用して後見人を立てなくては進められません。

実際、故人を偲ぶ余裕もなくこれらの手続きに奔走されるご遺族が数多くいらっしゃいます。(※被相続人の口座から必要な資金を仮払いとして一定の額を引き出せる制度がありますが、それは別の記事で解説いたします。)

でも、“法的に執行力のある遺言書”があるとこれらが不要なのです。

遺言書の中で遺産の分け方が明記されていれば、遺産分割協議を経る必要がなくなります。

銀行等の口座解約や不動産の相続登記等も遺言書に従ってスムーズに行うことが出来ます。

如何でしょうか?これだけでも遺言書を作成したほうが良いということがお分かりいただけたと思います。

遺言書を書いた方が良いケース

そして、今回は特に相続発生時に遺言書が無いとトラブルになりやすいケース(=書いた方が良いケース)をご紹介します。

① 相続人同士が揉めそうなケース

子ども同士の仲・親子の仲が悪い場合、相続人に離婚歴(子どもがいる)がある場合、相続人の中に疎遠の人がいる場合、一部の相続人に生前贈与や特別な受益が行われている場合など、“争続”になりやすい事情というのは様々あると思いますが、想定されるならば生前に予め遺言を含めた何らかの対策が必要です。特に近年問題となっているのは、相続不動産の登記です。相続人同士が合意できない事情で名義がそのままになっている相続不動産がある場合、処分ができないだけではなく、ある日突然に差し押さえを受けるリスクもあります。ご両親とお住まいを同一にしている方、親の名義の土地で事業をしている方は特に注意が必要です。

相続登記に関する記事はこちら

② 夫婦に子どもがいないケース

夫婦に子どもがいないケースは配偶者が亡くなると、相続人は配偶者だけではなく被相続人の親が相続人になります。親が亡くなっている場合は被相続人のご兄弟、更にご兄弟が亡くなっている場合はその子どもである甥・姪が相続人となります。(第三順位の相続)

子どものいない夫婦で亡くなった場合に配偶者に全ての財産を相続させたいと考えている人は、それぞれお互いに受遺者を配偶者に限定した遺言書を作成しておけば、全財産を配偶者に相続させることが出来ます。

③ おひとり様の終活

相続する相手がいない方が亡くなった場合、遺産については国庫に帰属されることになります。育った故郷の地方公共団体への寄付やご自身の遺志に適った団体への寄付などをご希望される場合には、遺言執行者を定めて遺言を作成しておく必要があります。

なお、当事務所は遺言執行人をお引き受けいたします。ご依頼者様の遺志を着実に実行いたします。また当事務所の特徴はお客様ひとりひとりに寄り添うサロンです。死後のお手続だけではなく、生前からのお付き合いを大切にしたいと考えております。

おひとりでの将来に不安な方、認知症になった時の財産管理や意思決定のサポート、介護施設への入所サポートや安否確認サービスなどを承ります。遺言書はもちろんのこと事前に当事務所とお客様の間で「死後事務委任契約」を締結しておくことで、死後の身元引受や医療費などの清算、葬儀・埋葬の代行、遺品整理、ご勤務先とのやり取り、各種行政のお手続きをお引き受けいたします。お客様のご意向を丁寧にお伺いいたしますので、まずは[ちょっと聞いてほしいのだけれど…]とお気軽にご相談ください。

④ 相続人ではない人に遺贈したいケース

生前特別にお世話になった人に財産の一部を遺贈したい場合、ペットの世話を託す代わりに財産の一部を遺贈したい場合(負担付遺贈)など相続人ではない人に[遺贈]する場合には遺言書が必要になります。また近年は事実婚やLGBTカップルの様に法的な婚姻関係とは異なる内縁関係・パートナーの形が増えて参りました。日本の法律ではこうしたケースの場合、パートナーであったとしても法律婚ではない人に相続権はありません。このような形態の方は相手に財産を遺贈したい場合には遺言書を作成することをお勧めしております。

⑤ 相続人が行方不明のケース

相続人の中に行方不明の方がいる場合、遺言書が無いと相続手続がとても煩雑になります。当然ながら遺言書が無い場合には相続人全員による遺産分割協議が必要になります。相続人の中に行方不明の方がいる場合は、この協議をするために探すところから始めるわけですが、もしも連絡が取れない場合には家庭裁判所に「不在者財産管理人の選任申立」を行わなくてはなりません。失踪宣告の申立が必要なケースもあります。予め遺言書を作成しておけば、こうした問題を回避することができます。

⑥ 相続人の中に認知症の方がいるケース

このケースがとても増えています。高齢化社会において、遺言書が最も必要になるケースと言えるかもしれません。相続人の中に認知症の方がいて意思表示が出来なかったり、字が書けない等遺産分割協議を行える状態にない場合に、予め対策を講じていないと法定後見制度を利用する必要があります。当該相続人の[相続する権利]を守る代理人を立てた後に進める必要があり、そのための手続や費用が発生します。また、認知症ではなくても長期間入院している人が相続人になるケースも同様に遺言書を準備しておくことで[協議が進まない]というリスクを回避できます。

以上です。今回は専門家の立場から見て[遺言書を作成した方が良い]というケースとその理由について解説してみました。全ての人に当てはまることだと思っております。残された家族に任せるというのも考え方の一つではあると思います。ですが、もしもご自身で最後のこともきちんと支度しておこうと考えた際には、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

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